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表紙によせて

 この春、縁があって仙台市内に転居し、せっかくだからと東北地方のサクラソウを順に見てみようと計画を立てました。高山のサクラソウは、関東以西ではハクサンコザクラユキワリソウ、北海道だとエゾコザクラがメインですが、東北には南端にハクサンコザクラがあるほか、ミチノクコザクラヒナザクラユキワリコザクラヒメコザクラの4種に、近縁属のトチナイソウが分布し、群生地も多くて百花繚乱の感があります。いの一番に足を向けたのが不忘山(ふぼうさん)のユキワリコザクラです。

 不忘山は蔵王連峰の南端に位置し、屏風岳や南屏風岳とセットで周回でき、沢や岩場、風衝地と自然環境も多彩で、知る人ぞ知る花の山です。この日は前日まで停滞していた前線が南下し、天候が回復したのは幸いでしたが、稜線は前線の影響で強風が吹きつけ、歩きにくいのはともかく、写真撮影に四苦八苦しました。ここは稜線でも標高千7百mほどなのに、ハクサンイチゲミネズオウといった高山植物や、シロヤシオムラサキヤシオなどのツツジも多く現れ、関東以西との植物相のちがいを実感できました。

 ユキワリコザクラは不忘山の山頂周辺の岩場で数多くみられ、花のピークはもう1週間前だった印象でしたが、近縁のユキワリソウとくらべてもたくさんの花をつけたものを撮影できました。登山口から標高差千m近くのアルバイト、撮影しながらで7時間かかる山歩きとなったものの、満足のいく一日となりました。
           (2023.6.4 宮城県不忘山)

○野生植物写真館「ユキワリコザクラ」
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