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表紙によせて

 仏花や観賞用に栽培されるイエギクは中国原産で、チョウセンノギク(国内では九州中北部に自生)とハイシマカンギク(シマカンギクの変種で日本には分布せず)の種間雑種をもとに品種改良され、日本にもたらされたといいます。雑種起源だけにキク属の野生種と交雑しやすく、とくにイソギクのように海岸近くに生える種類については、人家に近いこともあって栽培品や切り花のイエギクから虫媒で花粉がもたらされ、雑種が生まれることがままあるようです。

 これまでに神奈川県の三浦半島(イソギクとの雑種:ハナイソギク)、高知県の室戸岬(シオギクとの雑種(和名なし))、和歌山県の日ノ御碕(キイシオギクとの雑種(和名なし))、宮城県の宮戸島(コハマギクとの雑種:ミヤトジマギク)などで雑種を目にしていますが、これらは地下茎で栄養繁殖を行うため、いったん雑種が生まれると、染色体数のちがいなどで不稔となる可能性のある種子で増殖せずとも、地下茎を伸ばして生育場所を広げていくことが可能です。

 三浦半島では岩場だけでなく、砂浜でもイソギクが一面に群生するところが多く、ひさしぶりに晩秋に訪ねた半島南西部にある黒崎の鼻で、イソギクと思って近づいた群落をよく見ると、ほとんどが白い舌状花のあるハナイソギクで、以前はポツポツくらいだっただけにその繁殖力にビックリでした。
      (2025.11.16 神奈川県三浦市)

○野生植物写真館「ハナイソギク」
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