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表紙によせて

 ギボウシの仲間はいずれも湿りけのある草地や岩場に生え、花や葉のかたちは似たり寄ったりなので、ギボウシということは分かっても、名前を特定しにくいグループです。東アジアに分布し、日本で多く種分化していますが、いちばんメジャーなオオバギボウシコバギボウシ以外は地域限定なものが多いので、名前がわからないときは、分布域も念頭に調べてみるとよいようです。たくさんならぶ花が涼しげで、日陰でもよく育つからでしょうか、斑入りなどの園芸品種も多くあり、日本発、属名に由来する「ホスタ」という名前で世界に広がった花きと言ってよいでしょう。

 そのようななかで、イワギボウシは岩場に着生する生態から、特徴あるポジションを得ています。オオバギボウシも岩場で見ることがあるものの、全体に大型で、イワギボウシのように葉柄が紫色がかることはないことで見分けられます。主に山地に生えますが、神奈川県では三浦半島の谷あいにもわずかに分布しています。8月に散策したルートでたまたま岩壁に群生するイワギボウシに気づいたものの、このときはまだ葉ばかり旺盛に茂っていて、時期を見計らって再訪したところ、ベストのタイミングでイワギボウシが咲き誇っていました。

         (2022.9.23 神奈川県葉山町)

○野生植物写真館「イワギボウシ」
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