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  表紙によせて
 キイレツチトリモチの写真を初めて見たのはもう20年以上前、書店で見つけた「植物写真マニュアル」(東海大学出版会)でした。植物写真家の木原浩さんの労作で、当時はもちろんフィルムカメラの時代、今とは異なる面もありますが、撮影時の心構えやアングルの取り方など、カメラを持つようになったばかりのわたしには、とても勉強になる一冊でした。同書に作品例として掲載されたキイレツチトリモチは、ローアングルの広角で見上げるように撮影したもので、うす暗い樹林下に生える生育環境をしっかりとらえたものだったように記憶しています。

 そのときから、いつかはこの目にしたいと思っていたキイレツチトリモチですが、いずれ訪問しようと考えていた鹿児島県ではなく、長崎県で観察する機会を得ることとなりました。最初に見たキイレツチトリモチは、島しょの海岸近くのトベラの根に寄生していましたが、その翌月には内陸部の低山でも1株だけですが、見つけることができました。このときはもう、花穂からポツポツと飛びだした雄花は茶色くしおれていたものの、黄褐色の花穂とのコントラストがかえって魅力を増しているように感じました。木原浩さんにはとうてい及ばず、再訪してレベルアップできればと思います。

      (2017.11.19 長崎県長崎市)


○野生植物写真館「キイレツチトリモチ」
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