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  表紙によせて
 フウランは樹幹や岩壁に生え、夏に純白の花を咲かせる着生ランです。芳香のある、涼しげな花をたくさんつけるようすや、まれにクリーム色の斑入りの葉を持つものが現れ、そのもようが多彩なことから、江戸時代から「富貴蘭」と呼ばれて珍重されてきました。この自生地を初めて訪ねたのは前年のことでしたが、植物観察であちこちをめぐったあとで夕暮れどきとなってしまい、満足のいく写真が撮れませんでした。

 再訪を心に決めてから1年後、今度はフウランを撮ることだけを目的に現地を訪れたところ、予想を上回る早い開花だったらしく、まだ7月中旬というのに多くの株は半ば花が終わっていて写真になりません。それでも運よく、梢のほうに1株だけ満開のものが見つかり、400mm相当の望遠レンズを装着してようやく撮影がかないました。

 ここは国道や線路から距離があり、人通りも少ない山里で、歩き回ってみると、カキの古木数本にフウランが着生しているのが見つかりました。これらのカキは半ば放棄され、枝を四方に広げて葉を茂られているせいか、フウランが咲いていても周辺からは気づかれにくいようです。写真のような大株だけでなく、細い枝にも若い株がいくつも着いていて、これなら将来も心配ないなあと安心しました。

           (2018.7.15 長崎県)

○野生植物写真館「フウラン」
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