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表紙によせて

 タコノアシは、花こそ花弁もなくて地味ですが、開発されやすい湿地環境の自然度をはかる指標植物として注目され、秋に赤く色づく花序がタコの足を連想することからついた名前とあわせて紹介されるなどして、その名を聞く機会が増えたように思います。

 この年の秋口、高原の花を撮影しようと山梨県まで出向き、帰りに相模川に寄り道して河川敷を散策していたところ、水ぎわの湿った草地で、うれしいことに予想していなかったタコノアシが現れました。神奈川県では休耕田や河川敷にまれに生えるめずらしい植物といえ、幸運な出会いにタコの足になったころに再訪しようと思いつつその場をあとにしました。

 現地を訪ねる時間がとれたのは11月に入ってから、河川敷は枯草色に染まり、ちょっと遅かったかなと思いながらしばらく探すと、だいぶ水気がぬけていくらかスルメのようになったゆでダコを見つけることができました。前回は2株しか気づきませんでしたが、少しはなれたところにまとまって生えているのも新たに発見でき、写真はその場所でいちばん大きな花序をカメラにおさめたものです。


       (2012.11.10 神奈川県相模川)



○野生植物写真館「タコノアシ」
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