Home > 2018年版・今年出会った花ベスト集 > ウエマツソウ(宮本)


 この1年にみなさんがご自分で撮影された花の中から、
「今年出会った花ベスト1(3まで)」を選んでくださいました。
 一覧表はこちらで見ることができます。
連載開始は2018年11月16日です。

1月12日からはわたし(宮本)の写真を紹介しています。

1つめはウエマツソウです。


ウエマツソウ

ウエマツソウ(6月24日)

 九州で植物を観察しはじめて実感したことの1つに、従属栄養性の植物を目にすることが多いことが挙げられます。広い分布域を持ち、普通種といえるギンリョウソウでは、林床を埋めつくすような大群落が見られますし、市街地に近い林でもツチトリモチキイレツチトリモチが生え、山あいの沢すじを歩けば、ときにシロシャクジョウヒナノシャクジョウが現れます。温暖な気候のほか、共生菌に好適な環境が保たれていることや、寄生する樹木が多いことが影響しているのでしょうか。
 ホンゴウソウ科もまたこうした生態を持つグループで、長崎県からはホンゴウソウウエマツソウが知られています。梅雨にはウエマツソウが咲くということで、連れ立って現地に出向いたのですが、予想以上の難敵で、落ち葉や枯れ枝が積もった林床はうす暗く、おまけに木漏れ日が逆光となって探しにくいといったらありません。1時間あまり歩き回った末に花茎を上げている場所が3ヶ所ほどなんとか見つかり、その奇妙で造形的な花をカメラに収めることができました。