イヨカズラ（５月８日） 　三浦半島の海岸草地は意外なほどに植物相が豊かで、地域全体としては開発が進んでいるものの、人が立ち入りにくいエリアでは、秋ならソナレマツムシソウ、ハマアキノキリンソウなど、そして春はアツバスミレ、コケリンドウなど、季節折々の希少な植物を目にすることができ、そうしたなかで春いちばんの花がひと段落したころに満開となるのがイヨカズラです。 　カモメヅル属は山地の樹林下や草原に生えるものが多いなかで、イヨカズラはなぜか、海岸近くの草地を住みかにしています。たまに茎の先がツル状になっているものもありますが、株元は直立していて「葛」という名前とあまりフィットしません。神奈川県内ではまれな植物なのですが、この時期に初めて散策した海岸では、何本も茎を上げて株立ちとなったみごとなイヨカズラに出会えました。